慢性呼吸不全とは?

慢性呼吸不全は、肺の働きが低下して、肺本来の働きができなくなった状態を指します。
肺の機能低下が起こると、血液中に十分な酸素を取り込めず、二酸化炭素を十分に排出できなくなるため、
息切れや疲れやすさといった症状が徐々に進行し、日常生活に支障をきたすようになります。
慢性呼吸不全は特定の疾患名ではなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺線維症、重症の気管支喘息など、
様々な呼吸器疾患が進行した結果として至る「状態」です。
原因となる疾患の早期発見と適切な管理により、慢性呼吸不全への移行を防ぐことが重要となります。
息切れや呼吸の苦しさでお困りの方は、呼吸器内科専門医が在籍する
大阪市中央区・森ノ宮のきむたくクリニック森ノ宮院へご相談ください。
慢性呼吸不全の主な症状
典型的な症状
- 安静時でも息苦しさを感じる
- 少し動いただけで息切れがする
- 階段や坂道を上ると息が切れる
- 疲れやすく、だるさが続く
- 唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)
- 顔や足がむくむ
- 食欲が低下し、体重が減る
- 夜間に息苦しくて目が覚める
急性増悪の症状
風邪などをきっかけに急激に症状が悪化することがあります。
普段より息苦しさが強くなる、痰の量が増える、痰の色が変わる、発熱するといった症状が現れた場合は、
速やかに受診してください。
慢性呼吸不全の原因
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
長年の喫煙により肺が破壊され、呼吸機能が低下します。
慢性呼吸不全の原因として特に頻度が高い疾患です。
間質性肺炎・肺線維症
肺の組織が硬くなり、ガス交換がうまくできなくなる病気です。
原因不明のものや膠原病に伴うもの、薬剤性のものなどがあります。
その他の原因
肺結核の後遺症、気管支拡張症、神経筋疾患、胸郭の変形など、様々な原因があります。
慢性呼吸不全の検査
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
肺活量や気道の状態を評価し、原因疾患の診断や重症度の判定に用います。
胸部レントゲン・CT検査
肺の状態を詳しく調べ、原因疾患の特定や進行度の評価を行います。
当院ではデジタルレントゲンと低被曝CTを導入しており、詳細な画像診断が可能です。
動脈血ガス分析(血液検査)
動脈血から採血し、血液中の酸素と二酸化炭素の濃度を測定します。
これにより呼吸不全の診断と重症度の評価を行います。
その他の検査
慢性呼吸不全の原因を探るため、喀たん検査、運動負荷試験、心エコー検査(超音波検査)、
睡眠時呼吸症候群の検査などを行うこともあります。
慢性呼吸不全の治療
原因疾患の治療
原因となる病気に応じた治療を行います。
慢性呼吸不全に移行する前に治療することが大切ですので、
長引く咳や痰、息苦しさなどの症状がある時は、放置せずに受診するようにしてください。
呼吸リハビリテーション
呼吸筋を鍛えることで息切れを軽減し、呼吸能力と運動能力を維持します。
口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸法や、排痰(痰を吐き出すこと)訓練など、
自宅でできる呼吸リハビリの方法を丁寧にお伝えいたします。
栄養管理・感染予防
栄養状態を良好に保つことで、呼吸筋の機能を維持できます。
また、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種により、感染症による急性増悪を予防します。
お一人お一人にあった治療法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。